VKsturm’s blog

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本当に男性には犯罪者が多いのか?─アメリカ司法省の統計より

ツイッターを見ていたら、ほぼ毎日のことであるが男性は犯罪者だ(犯罪者になる人が多い)!/いやそうじゃない!と、男女による激しい対立が行われていた。では実際に男性はどうなのか。手元にちょうどよい本(『あなたの知らない脳 意識は傍観者である』)があったのでその本の内容を簡潔に紹介したい。

 

以下その本の引用である。

「あなたがどんな人間になる可能性があるかは、幼少期よりもずっと前、胎児のときに始まっている。もしあなたがある特定の遺伝子セットをもっていたら、凶悪犯になる可能性が882%も上昇するのだ。ここにアメリカ司法省が出している統計を、2つのグループに分けたものがある。この特定の遺伝子セットをもっている集団ともっていない集団の犯罪件数の比較である。

・その遺伝子をもつ

加重暴行:3,419,000件

殺人:141,96件

強盗:2,051,000件

強姦442,000件

・その遺伝子をもたない

加重暴行43,500件

殺人:1,468件

強盗157,000件

強盗10,000件

 

言い換えると、もしあなたがこの遺伝子をもっていたら、加重暴行を犯す可能性は8倍、殺人を犯す可能性は10倍、強盗を犯す可能性は13倍、そして強姦を起こす可能性は44倍高くなるのだ。

人間のおよそ半分がこの遺伝子をもっていて、残りの半分はもっていないので、もっている半分のほうがはるかに危険である。比べ物にならない。囚人の圧倒的多数がこの遺伝子をもっていて、死刑囚の98.4%がもっている。もっている人はちがうタイプの行動をとる傾向が強いことは明らかなようだ─そしてこの統計だけでも、動因や行動について言えば、誰もが平等なものを身につけてゲームに参加しているとは見なせないことがわかる。(…)

ところで、例の危険な遺伝子セットのことだが、あなたも聞き覚えがあるだろう。それはまとめてY染色体と呼ばれ、それをもっている人は男性と呼ばれる。

 

要するに、男性は女性より犯罪を起こしやすいのは(少なくともアメリカにおいては)事実なのである。その差は先に上げたように数十倍にもなっている。ツイッターにおける「男性は犯罪者論」は正直データに則って語っているようには見えないが、客観的事実としてアメリカでは男性の方が犯罪者が多いのは確かである。

もちろん、この統計だけを見て、男性は全員犯罪者だ!とは言えない。傾向があるだけだ。善良な男性はたくさんいるし、そもそも女性の方だって犯罪を犯しているのは先に引用した文章のとおりである。しかしながら、議論の何らかの手助けになると思い、このような記事(記事というより引用文であるが)を書いてみた次第である。

最後になるが、この『あなたの知らない脳』はとても面白い本なのでぜひ読んでもらいたい。我々の意識が如何に脳の活動の一部にすぎないかが明瞭に語られる。とても楽しくなる本であった。

 

参考文献:

デヴィッド・イーグルマン著『あなたの知らない脳 意識は傍観者である』